ヒビ、ヒビヤ

ココロハムラ

平成の終わりに宝塚のチケットが値上げした件。

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塚is貴族の遊び。

そう思っていた頃が私にもあった。

ジャニオタJ子は今でもそう思っている節がある。

いやもちろん貴族じゃないとできないような遊び方をしていらっしゃる方も大勢いる。

「オバサマ」って呼ばれる方たちとかね。

マンションとか車とか買っちゃう人たちね。

でも心配しなくても(?)そんな楽しみ方は一般庶民には縁遠い(会に入るとお近づきになることもあるが)。

目下の問題はチケット代。

言うまでもなく本日も浅はかな私見だ。

 

日は終日ばったばたしており、遅ればせながら夜中になってニュースを読んだ。

これ。

kageki.hankyu.co.jp

きたか!という感じ。

 

宝塚大劇場のSS席が12,000円から12,500円に。

S席が8,300円から8,800円に。

月組公演(10月4日~11月11日)

日本オーストリア友好150周年

ミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』から変更。

 

東京宝塚劇場のSS席が12,000円から12,500円に。

S席が8,800円から9,500円に。

花組公演(10月18日~11月24日)

三井住友VISAカード シアター

Musical『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』レヴューロマン『シャルム!』から変更。

 

「思ったより高くならなかった!」てのが正直なところでもある。

Twitterを見ていても人によって受け止め方は様々。

それはその人が普段どんなエンターテインメントに触れているか、によって大きく変わるように感じた。

 

百番煎じの比較

ぶっちゃけ舞台をよく見る身からすると宝塚は安い。

逆に外部を見に行くと「たっか!」と支払額をみて愕然としてしまう。

参考までに。

 

帝国劇場「レ・ミゼラブル」「エリザベート

S席 14,000円

A席  9,500円

B席  5,000円

 

座席数は1826

うち、S席(1階前方~中央、2階前方)1121

   A席(1階後方、2階中央)497

   B席(2階後方)208

 

帝国劇場「Endless Shock」

S席 13,000円

A席  9,000円

 

座席数はS席2034、A席(2階後方)208

 

シアタークリエ「ライムライト」

全席11,000円

 

日生劇場「笑う男」

S席 13,000円

A席  8,000円

B席  4,000円

 

東急シアターオーブ「キンキーブーツ」

S席 13,500円

A席 11,000円

B席 10,000円

 

この辺りをよく見る方々からしてみれば最前列8800円!?という驚きはもうすごいもんだ。

だいたい(席数に違いはあるものの)同じ価格帯なのがご存知「劇団四季」。

 

「アラジン」東京公演

S席 11,880円

A席  8,640円

B席  6,480円

C席  3,240円

 

ちなみにJ子のホームグラウンドはどうかというと…

 

Kis-My-Ft2 LIVE TOUR 2019 FREE HUGS!」

7,500円(FC料金)

 

「ARASHI Anniversary Tour 5×20」

9,000円(FC料金)

 

更に私の実家、2.5次元界隈は…

 

ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学vs立海 前編

6,000円

 

ミュージカル『刀剣乱舞』2019年秋新作公演

9,000円

 

舞台「刀剣乱舞

8,800円

 

値上がりしたな…。昔テニミュ5,600円とかだった。

 

普段1,800円の映画をメインに見ている人は「S席1回で映画5回分に近い…」と思うだろうしオペラやバレエの30,000円に慣れている人は「やっす!」と思うだろう。

ハコも違えば客層も違う。単純に値段だけで比較することはもちろんできないが、それでも宝塚は「ミュージカル」というカテゴリーの中で良心的だなと思うのだ。

 

なぜ宝塚は他のミュージカルより安いのか

「おとめ」の楽しみの一つに、コラムがある。

基本的に情報の更新以外は大きく変わる内容ではないが、1年に1回改めて小林一三先生の言葉を読むのもいいものだ。

小林一三語録」の中にこんな一節がある。

 

(前略)私は、五十年来、大劇場主義と新国民劇の創成ということを提唱してきた。私の大劇場主義とは、いい芝居を、安い料金で、広く大衆に見せたいということである。中小劇場では、どうしても仕込みが高くつく。安い料金では見せることが出来ない。それでは、芝居は一部少数の特権階級の娯楽になってしまう。芝居を大衆化し、普遍化するには、大劇場による他はない、というのが、私の持論であった。

幸いにも私は、宝塚歌劇と大劇場建設によって、私の理想のモデルケースを作った。(後略)

 

 

そもそもの理念が「大衆芝居」だから。

宝塚は大衆芝居が大衆芝居であるために作られたものだから。

言ってしまえば簡単だが、それを現実化するためには宝塚を宝塚たらしめる様々なシステムが効いている。

 

  • 出演者が固定されていること。(改めてツモる必要もなければ、事務所のマージンを含む高額なギャラもいらない)
  • 専用劇場があること。
  • 座付きのスタッフがいること。
  • 専用のチケットサービスがあること。
  • 固定客が相当数見込めること。

 

同じことが劇団四季にも言えるが、それだけのシステムを独自のものとして作り上げてきたからこその金額だろう。

 

それでも値上げに踏み切った

ここで「昔はB席800円だった」とか議論するのは不毛だと思う。

物価が違う。人件費が違う。機械が違う。働き方も違う。

宝塚を取り巻く世間の状況はめまぐるしく変わっている。

 

劇団は値上げの理由を

近年、音響や照明といった舞台装置が高度化するとともに、演出も多様化しており、公演にかかるコストが従前よりも増加してきております。こうした変化に対応しながら、宝塚歌劇はこれからもオリジナリティを追求し、華やかでクオリティの高い公演作品の提供に努めていきたいと考えております。 

 と記載した。

それも一つ真理だろうと思う。

長く続くものほど過去を超えていかなければならない。

昔よりもいいものを作らなければならない。

そのためには最近のプロジェクションマッピング的な演出だったり、複雑な照明だったり、様々なジャンルの音を使う手法も必要だと劇団は判断しているのだと思う。

 

それともう一つ、願わくばこの値上げ分が生徒さんやスタッフさんの福利厚生の充実に使われますように!

宝塚の労働環境の実際を知っているわけじゃないが、ハードスケジュールで素晴らしい舞台を魅せてくれる生徒さん、それを作ってくれるスタッフさんが少しでも働きやすい環境になるといいなぁ。

クリエイティブの現場って、自分の経験を踏まえても人手と時間は不足しがちなものだから。

 

がちゃがちゃ色々書いたけど

今更値上げが覆るわけじゃない。

A席B席当日券が据え置きなのは配慮だと思うし、選択肢を与えられていることに変わりはない。

「どうしても値段的にS席きつい…」なら他の席種をチョイスするんだ。

少なくとも私は自分で宝塚を見たいと思って、S席に座りたいと思って、だれに頼まれたわけでもなく申し込んでお金を払っている。

学生の頃はA・Bねらいばっかりだったなぁ。

お取次とか席種を選べないこともあるけどね!

 

座席の区分を変えれば、という意見も耳にする。確かに2階6列と1階1列が同じ値段って!というのも分からなくはない。

ただまぁ「この席で見ていただく3時間に8,800円の(これからは9,500円か)の価値がございます」と劇団さんが言ってるってことだし実際やっぱりA席よりは見やすいし。

そしてきっと自分はS席が1万円超えようが回数据え置きで見に行くタイプのオタクだ。

だとしたらその値上げ分が宝塚がいい方向に向かうよう祈りながら劇団の動向を見守るしかないなぁと思う。

お兄様も言っていたではないか。

「変わらないために、変わり続けていきたいと思います」

きっとこれはその一つ。宝塚が宝塚らしくあるために変わることなら黙って金出してやんよー。

 

 

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