J子(仮名)という友人がいる。ジャイ子ではない。
彼女は3歳の頃からジャニオタで、曰く「アンパンマンの次に好きになったのがキムタク」。現在はKis-My-Ft2という人たちを応援している。いい人だそうだ。
互いに互いが好きなものは何となく把握しているし、追いかけているものは違ってもファン心理に大きな差がないため理解者としても心地よい。
そんなJ子が「人生で一度くらいは」と言ってくれたので宝塚観劇に連れていくことにした。
これは、カルチャーショックという言葉を身を以て実感したJ子の、手に汗握る愛と涙の物語である(大げさ)
演目を決める
宝塚が初めての人を観劇に誘う場合、毎度頭を悩ませることになる。
宝塚を見た!という満足感。
意外ととっつきやすいんだね!というフレンドリーさ。
こりゃハマるわ!という中毒性。
ファンにはお馴染み、もしくはファンなら許せる内容も初心者には????だったりもする。
そもそもチケットが取れるのかよ!という話もある。
1本物?いや舞台を見慣れていないなら2本ものの方がいいか…。
ましてや相手はライトばちばちなコンサートに休日を捧げるジャニオタ。
ショーだ。ショーがいい。
葛藤の結果、私が選んだのは雪組公演『ひかりふる路〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール』『SUPER VOYAGER!』。
ご存知、神の声帯を持つ新トップコンビのお披露目公演である。(1年以上前の出来事です。書き忘れましたが)
ムラ公演のレポートを熟読し、自分も一度観劇した上でこれならば!と決意した。
「宝塚といえば!」なフランス革命もの。衣装も時代物のわりにスタイリッシュ。
ストーリーはまあまあ分かりやすい。よしよしいいぞ。
J-POPやクラシックなど知っている曲が使われているショーは客席降りもあり、初心者でも充分楽しめるでしょうと私の中の観劇予報士が告げている。
運がいいことに、友の会で1階S席中程センターブロック2連番も取れた。
ありがとう友よ!
行くまでが大変よ
演目を決めたこと、土曜の15時半開演だよということを告げる。
返事は「了解!物販あるなら5時間前かな?」
………。
懇切丁寧に説明する。そういうシステムではないのだと。
何か欲しければ観劇後に公式ショップ兼ヅカオタ心の拠り所「キャトル・レーヴ」に案内するからと。
「物販常設とか宝塚のメリーさん偉い!ちなみにドレス的なやつで行かないとだめ?」
どんなイメージだ。
ドレスはタカラジェンヌが着てくださっているから普段着でいいこと。
体温調節ができて体を締め付けすぎない格好が楽なこと、頭をお団子なんかにしてきたら私がむしり取ることを伝える。
あと宝塚にメリーさんはいない。
「うちわとペンラはいらないと思うけど、オペラ21倍で足りるかな?」
鳥でも見る気か。野鳥の会か。
ドームの天井席に住み着いているジャニオタの発想は怖い。
私の友情オペラ(友達に貸す用のオペラグラス。6倍)を貸すことにした。
余談だがJ子は常にカバンに乾電池を入れているらしい。ペンラの電池が切れたら困るから。職場でペンラを使うことがあるのか怖くて聞けなかった。
ジャニオタならクリエとか日生とかでやってるジャニーズ舞台やら、ENDLESSなSHOCKやらに行ってるもんだと思っていたら彼女はコンサートに命をかけるタイプのオタクらしい。
そういうわけでいわゆる劇場に足を踏み入れるのは中学校の芸術鑑賞以来と申告したアラサーOLを連れて、私たちは日比谷に向かったのである。
いざ劇場
「絨毯…?え?絨毯!?花!でか!ピアノが勝手に!?」
もぎりのお姉さんに「こんにちは!」と笑顔で挨拶をした直後に小学生みたいなリアクションをされ、とにかく階段を登らせる。
もちろん劇場に入る前に会のチケット出しにフラフラと近寄って行ったり、自動発券機に歓声をあげるなどのハプニングは済ませている。
「寒くない!」
当たり前です室内です。ドームは寒いらしい。ジャニオタの皆さまお疲れ様です。
1階席なのに3階とはこれ如何にと次々飛び出す疑問に答えつつ、とにかくトイレに並びまるで友達かのようにVISAのみりおさんを紹介する。
ついでに宝塚が5組体制であることや今日観る雪組の説明なんかも織りまぜたりなんかして。
ふんふんと聞きながらブツブツと「嵐でいうところの翔ちゃんとリーダー的な…」「なるほど玉ちゃんポジション」「これがシンメ」などと呟いているがこちらはさっぱりぽんである。誰が玉ちゃんなんだろう。ひよこっぽい雪組子はいたかしら。
席につくと舞台が近いことに驚く。ほら6倍で良かったでしょうよ!
あらかじめ購入しておいたプログラムを渡し、大体のストーリーやメインの登場人物を確認する。
ああ分かっていたとも、君があーさに目をつけるだろうことくらいな!
「このパンフレット3000円くらいするクオリティ…」
1000円です。メインキャストの衣装写真やインタビュー、謎に熱すぎる演出家の寄稿文、ワイルドホーン氏のコメントが格調高く、出演者全員の顔と名前、さらには各場面の出番表まで載って1000円です。
当たり前に思っていたけどやっぱりすごいよね!
観劇中に気をつけることを再確認し、躾のされたジャニオタである彼女は言われる前に携帯の電源を落としオペラのレンズを拭いて万全。よい子は真似しましょう。
客電が落ちる。劇場全体がそわっとする。
始まるぞー!
後編に続く
気がつけば2000字を超えた。やっと開演なのに。
我ながら読むのに疲れる文章なので一旦休憩。後編は後日。
というわけで「ジャニオタJ子の宝塚体験記〜拍手のタイミングがわからないよ編〜」乞うご期待!
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希望の海へ旅に出ます