称讃の声がやまない。
嘆きとともに、だがそれ以上の熱をもって称讃がやまない。
宝塚を愛し、宝塚に愛されたトップコンビが次のステージへの一歩を決め、卒業を発表した。
ええ、ええ、ええ、ええ…
すっごく寂しいです!!!!!!!!!
その日は優しくやってきた
えてして宝塚の人事というものは見ているとなんとなく予測ができるものである。
いわゆる「フラグ」が日ごろのニュースにちりばめられていて、だからこそファンは一喜一憂しながら目の前の舞台を全力で受け止めようと努めるのだと思う。
今回、望海風斗さん、真彩希帆さんの退団についても数多くの「フラグ」が確信にも近い重さを持って迫ってきていた。
全てを列挙することはしないが、もうこりゃ、そりゃそうよ。と冷静な私がフラグが立つたびに脳内で囁いてきた。
他方、やだやだやだ絶対違うもんだいもんはフラグ折るマンだもんと駄々をこねる自分もいる。
だってもっと見たかったから。だいきほの雪組を観たかったから。
何度でも書くが宝塚は優しい。
退団の発表からラストデイまで別れを惜しむ時間を与えてくれる。集合日付けじゃない限り。
今回は特に、私が知る限り最大の最多の、退団フラグを立ててくれていた。
発表も諸事情あったとは思うが一番可能性の高いXデーと言われていた2月17日だったのも想定内。
だから昨日は衝撃と同時に「やっぱりか…」という静かな納得感をもって落ち着いた自分を表面上は保てた。
もちろんマスクしていたのは大きい。マスクしていてよかった。買いだめていた3か月前の私にありがとう。
マスクの下で唇と頬の裏側を噛んで涙が浮かびそうになるのをこらえながら、これまでの舞台を思い出した。
走馬灯だなんてもったいない。ゆっくり全部噛みしめたい。なんなら巻き戻して最初からもう一回堪能したい。
お願いぺこぱ、時を戻して。
戻らないよね。戻らないから尊いんだもの。
晴れ晴れと、涙雨
今日も今日とてニュースサイトに張り付きながら、二人がすがすがしく紡ぐ言葉の一つ一つに涙したり微笑んだり私の情緒は忙しい。情緒といえば一番揺さぶられたのは退団発表直後に発表されたのぞコンのポスターだ。なんてことしてくれんのよヨシマサ。スタンド出すわよ。
だいもんの言葉は温かく、力強く、潔く、かわいい。
「組の仲間が舞台に立っている姿を見たときに、ものすごく皆が舞台に息づいている姿を見て、すごく心が震えた。すごく尊いものを見ているなという。涙がツーって出てきた瞬間があったんですよ。ものすごく幸せな気持ち、なんとも言えない瞬間がありまして」
「まず、私が、みんなに伝える数日前から『退団ブルー』に入りまして。言ってしまったら(退団へ)カウントダウンが始まるし…。なので、伝えるときに、みんなの顔が見えなくて、まず最初に私が泣きましたね」
日刊スポーツ
「歌の事を評価していただくことが多かったですが、それに甘えないように、もっともっと深いものを作っていけるとように、と。真彩とは手をつないで歩くというより、戦いながら走っていく感覚。すごい力を発揮してくれた。ありがとう。幸せだったと伝えたい」
スポーツ報知
「私、走れませんと言ったら『200メートルです』と…。こんな機会は本当にないですし、自分が思っていた以上に本当にすごいことだと思います」
日刊スポーツ
「私自身、男役が大好きで、宝塚の舞台で立っている時間が人生の中で一番幸せな時間。決断するには勇気がいったが、応援してくださる方に最後まで男役を楽しんでいる姿をお届けできれば」
「一緒にスタートしてゴールする。ありがたいなぁ。常に同じところを向いて一緒に戦ってくれた。手をつないで歩くっていうより、戦いながら走っていく感覚。自分一人では見えない世界が広がった。感謝です」
いま、自分にかける言葉は-の問いに「(宝塚を)目指してくれてありがとう。想像していたよりも幸せだよってことを伝えたい」とキッパリ。
「(明日海は)どんな風にやっていくんだろう、と見ていましたね」「退団の瞬間まで、組を思い、男役を全うしようという姿を見て、勇気をもらった。彼女が退団するときには、次は自分なんだという思いもありつつ、大変さも半分ぐらいわかっていたのでお疲れ様という気持ちもありました」
「これまでの人生、宝塚しか自分の頭にないので。そういう世界に出会えたことが幸せだった。宝塚が大好きな人たちが集まって作っている世界の一員になれたことが幸せだな」
そしてきぃちゃんのチャーミングな会見。
「望海さんの隣にいることが、私が生きてきた中で一番幸せです」
「『ご一緒したら迷惑ですか』と恐る恐る聞きました。『そう言ってくれるなら私もそれが本望』と言って下さり、うれしかった」と回顧。「しがみついてでも離れない」と誓った望海との“添い遂げ”は必然だった。
スポーツ報知
「神様ありがとう、望海さんありがとう、そして宝塚の皆さんありがとう。大好きな方と一緒に始まって、一緒に終われる。大切な時を過ごす、特別の約束をいただいた」
トップ初作品だった17年全国ツアー「琥珀色の雨にぬれて」の初日には、望海からネックレスをもらった。この日、首もとにはそのネックレス。「やっと、似合う…このネックレスが体の一部になる娘役になれたかな、と思います」と言い、首に手をやった。
「望海さんの隣にいることに値する娘役さんになれるのか」
「今はできなくても、いつかはできるようになる-そう信じて、しがみついて、離れずに一緒の方向に向かってきて…だから幸せです」
日刊スポーツ
まさに「戦友」として手を携えて歩んできたんだなとだいきほの歩みに思いを馳せ、コパカバーナを再生する。
聞き惚れる。
組子に伝えるとき、真っ先に涙が出てしまったトップさん。
ずっと一緒に退団したいと思い続けたトップ娘役さん。
この二人が雪組のトップコンビでよかった。
夢の先へ
「本望」という言葉は重いなと思った。
私も含めて、子供のころからの夢を叶えられた大人ってけして多くはない気がする。
それはもちろん、大人になるにつれて子供の頃は知らなかった世界や仕事が広がり自分の道を見つけることもあるのだと思う。
挫折して違う道を選ばざるを得なかった人もいるだろう。
二人は、特に望海風斗という人は天海さんに向けた日記を書いていた頃のままに宝塚への夢をひたむきに追いかけているように見えたし、天性の声に甘んじずに努力を重ねたことをファンが感じ取れるが故にあれだけの人気を獲得したんだろうと一宝塚ファンとして感じている。
宝塚に夢を見続けることはきっと簡単じゃない。
現実は甘くなかっただろうし、辛いことも悩んだこともあったに違いない。
その末に、共に「描き続けた夢も いつか叶うとわかるさ」と歌いあえる相手役と出会い、組替え&組替えを経てトップコンビになった。
「最後まで一緒に元気に成長しよう!」と「それが本望」と言えるまで歩んできた二人の道のりのすべてに感謝したい。
17年前の初舞台で89期生が高らかに歌ったように。
いついつまでもうるわしく
夢の舞台の幕が開く
だいきほのラストステージがひかりふる日々になりますように。
よろしければ「読んだよ」記念に1ポチッとしていただければ幸いです
あけましておめでとうございました…だいきほに幸あれ!