ヒビ、ヒビヤ

ココロハムラ

ヅカオタがジャニーズのコンサートにつれていかれた話・後編

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しいジャニオタさんから昨日の記事を読んで連絡をいただいた。

「我々としてもヅカオタさんとはいい関係を築いていきたいと思っています。兼オタもたくさんいます。この交換留学が更に友好を深める良いきっかけになることを望みます!」

いつのまにかジャニーズ・宝塚両国の友好関係にまで話が広がる壮大な案件になっている。しかしこの感じ…デジャブ。

「今日ここより始めましょう、二つの国の友情を」

そうだ私は知っている。ハンガリーオーストリア、二つの国の架け橋になろうとした皇后のことを。よし三色旗だ、三色旗のドレスを用意しよう。

エーヤン*1、ジャニオタ!

エーヤン、ヅカオタ!

 

いや落ち着いてください。ただのヅカオタが東京ドームに行ったよってだけの話です。

Yummy!!、まもなく開演。

 

ひろーーーーい!

東宝に足を踏み入れたJ子が小学生のようなリアクションをしたと思いっきり茶化した私だが、入って一言目にめっちゃ叫んだ。

広い。広すぎる。こんなのキャッキャしてしまう。

J子の冷たい視線が突き刺さる。すみません。

言われるがままに席につくと大きな通路?から3列くらい、ほぼ正面からステージが見える。多分めちゃくちゃ良席なのだろう。だってJ子がドヤ顔している。

そして早速武器(違う)を渡される。ペンライト2本、うちわ3枚。

「…わたし腕二本しかないんよ」

「問題ない、フル活用させる。その場で指示を待て」

どこの軍隊だここは。

よく見るとうちわの裏側にはA、B、Cと書かれている。

つまりJ子が「A!」と言ったらAのうちわをあげるのだ。

反射神経への自信は全くないが、もうやるしかない。J子軍曹が隣で見てる。

ところでなんて書いてあるんだ?

Aのうちわ「求むウインク!切実です!」

チケット譲渡か。まだ一枚も取れてないんですってか。

Bのうちわ「最近どう?」

いや知らん。

Cのうちわ「ここは釣り堀 私は魚」

釣れってか?

私がキスマイさんだったらきっと「お、おぅ…」ってなるのだがそこはアイドルパワーでなんとかしてくれるんだろうか。

そしてこの3つを使い分ける局面が来るんだろうか。なんという難易度。おそるべしコンサート。

ちなみにJ子が持っていたのは

「昨日ピカチュウゲットしました」

「指差しに全てをかけて」

「バーン!してくれるあなたが好き」

の3枚。

全然知らなかったがジャニオタさんにとってうちわは大喜利のネタらしい。

それともJ子のクセがすごいだけ?誰か教えて。

 

小林一三先生の教えのもとに」

私は常日頃から訓練されたヅカオタでありたいと思っている。

贔屓に迷惑をかけず、スタッフさんのお邪魔にならず、ただ静かに座っている。

雨の日はカッパを纏い、貸切公演でも少ない手拍子に臆さない、清く正しく美しく、サウイウモノニワタシハナリタイ。

心意気はどんな現場でも変わらない。そう、たとえここが東京ドームで周りが熱狂するジャニオタさんであっても。

言われる前に携帯の電源を切り、レジ袋のノイズを立てず、最後まできちんと背もたれに肩までつけていよう。拍手に精一杯の気持ちを込めよう。そう誓って今回臨んだ。

だがコンサートが始まった瞬間、その誓いは儚くも打ち砕かれたのだ。

なぜなら全員立ったから。一斉に。卒業式みたいに。

ああああそうですね立ちますね!そして叫びますね!コンサートですもんね!

オロオロと立ち上がり右手にペンラ、左手に何も考えずにCのうちわを持つ。

「まだ!」とJ子軍曹の指示が飛びペンラに持ちかえる。

 

POPな映画泥棒的なVTRの後に、やたらおしゃれな一人ずつの自己紹介みたいなのが流れる。

そして一曲目のイントロが流れた瞬間、爆発したのかなって。

ヅカオタは何かが爆発したのかなって思った。

一気に熱が上がっていろんなところでいろんなペンライトとうちわが振られて。

ほぼ地蔵と化していた私だったが次第にその熱に押され、曲に合わせてペンラを振る。

正直予習が足りない。知らない曲ばっかり。でもとりあえずペンラを振る。振ってるうちに楽しくなってくる。二の腕に効いている。

J子が隣で「エー!」とか「シー!」って叫んでいる。誰かのあだ名かなって思ったらうちわの指示だったごめん。

よくあるじゃないですか、他の舞台見に行ったヅカオタさんがピンスポで主演でてきたらうっかり拍手したとか。

そういう「ヅカオタあるあるやっちゃった☆テへ☆」的な展開を予想して参戦したら世界観が全然違ってただ圧倒されて、誰が誰だか見分けつかないままとにかくペンラをゆらゆら。ゆらゆら。「リズムに合わせて!」はいすみません!

 

「あれっ、この演出…」

突然始まった自己紹介曲。初心者に優しい。

ガヤさんは絵が下手なのね。ワッターさんは音程が悪い……それ言っていいの?

しかしこの演出、ヅカオタなら心に引っかかる…もしや背後にイケコが*2…?(そんなわけない)

玉森くんは赤ちゃんかと思ったらひよこちゃんだった。ピヨピヨしてた。前の席のお姉さんが崩れ落ちていた。

 

そして彼らの代名詞(?)ローラースケート!

抜かりなく予習済みである。「PUCK」で。龍真咲版も朝美絢版もバッチリである。

さぁこい!ローラースケート!

…思ってるより滑る。長いこと滑る。坂とかジャンプ台みたいなところも滑る。

あれ、知らない子もいるな!誰だ君は!「Jr.のとらじゃです」とらじゃさんはじめまして!

割と客席の近くまで滑りに来てくれるので、これは戻るのが大変なんじゃないかなぁ。客席降りに力かけすぎて最後は通路を全速力で駆け抜けたBEAUTIFUL GARDEN*3のタソさん*4みたいにならないかなぁ。

と思ったら。

みんなが決めポーズをとっている中、悠々と滑ってまだたどり着いていない子が一人。

玉森くん!君ほんと自由だな!てへぺろしても……てへぺろされたら許そう!!

 

しかし一目で金をかけたと分かるセットだ。なんか、ほら、大きいし、派手だし、ところどころ煙とかでる。最後の方は花火とか火も出てた。火傷とか大丈夫かな。お姉さん心配。

極め付けはあれ。ベルトコンベアー。その上で歌ったり踊ったりしはじめた。

まじか。これは大量生産大量消費の現代社会に対する警告とかなのか。違うのか。

J子の方を向いたら自慢の21倍双眼鏡(実際見たら自衛隊とか持ってるぐらいの大きさだった)でピクリとも動かずその様子を見つめている。息してる?って思った。

ちなみに衣装は初期トート閣下の登場シーンみたいな感じだった。

 

ぶっさっさー!ぶっさっさー!

世界観が幅広すぎて少年ジャンプ読んでるのかと。ワンピースかと思ったらるろ剣的な。テニプリかと思ったら銀魂シリアス回みたいな。

君らさっきまでクールな感じやったやないか。バラードとかもあったじゃないか。

急にぶっさっさー!って言われても。…あれっ、客席みんな対応してるな!あれっ。

噂には聞いていたけど彼らが舞祭組さん。J子イチオシ、紫のハンター×ハンター芸人も大活躍。ソーラン宙組と同じくらいテンション上がるやつだなこれ!

何かの曲でも「もうなんでもやります僕たち」って言ってて最近のアイドルは捨て身だなって。でも輝いてたよ。楽しかった。

 

どうやらジャニーズの他の人が来ているようで名前言ってくれたり、

(これは他の組の人が観劇に来た時にアドリブに入れ込むやつ)

名前が入った歌詞の曲があったり、

(作詞は野口幸作先生なのかな)

櫻井翔先輩との写真をモニターに写して急に自慢大会が始まったり、

(スカステで時々見る上級生との仲良し自慢会の流れだな)

ヅカオタ的にも共通点を見つけたりなんかして、そして鍛えられているだけあってMCはとっても面白かった。北山さんはきっと真面目な人なんだなって思った。違ってたらごめんなさい。

 

 宝塚では上がったり下がったり主にトップスターを運搬するゴンドラも、ジャニーズさんは動く。それはもう動きまくる。っていうかもはやゴンドラじゃなくない?やぐらじゃない?戦国時代に敵が来ないか見張ってたやつ?その四隅からも煙とか出てた気がする。織田信長が欲しがりそう。

通路から割と近いところにいたのでうちわを一生懸命使ってみる。肩より高くは上げない。きっと今持つべきはA。ウインクのおねだりをしなきゃ。それなのに残念ながら手にあったのはC。魚宣言。I am a fish.

しかしJ子は怯まない。指差しおねだりである。うちわを握る手に力をこめ静かに熱のこもった視線を向けている。その時。

二階堂くんが指差しをしてくれた!

J子はリアルに「ひぃっ」って言った。

正直ファンサなんて宝塚で慣れている。指差しだってウインクだって投げキスだって目撃して来た。でもなんだろう。私まで幸せな気持ちになった。

もしかしたら違う人にしたのかもしれない。推しじゃないのにされて喜ぶの?なんて思う人がいるかもしれない。だがそれからしばらくJ子は幸せな気分で過ごしたんだ。ファンサは魔法だ。アイドルもタカラジェンヌも魔法使いだ。この世は魔法で満ちてるんだ。ありがとう二階堂くん。

あと知ったのはファンサでダメージを受けるオタクが出す声は全世界共通なんだなってこと。

 

総括

基本的に宝塚を見るときは実質無料だと思うタイプのオタクである。

あれだけの人数があれだけのクオリティを生オーケストラでやってくれて夢の世界にウェルカムしてくれる。もはやタダ。

それと同じものを今回のコンサートでも感じた。みんな幸せそうだった。

キスマイさんも私が愛する宝塚の生徒さんと同じく、自らの役割を精一杯果たしてポジションを精一杯生き抜いて、汗だくでパフォーマンスしてくれた。

ダンスも歌も一生懸命でかっこよかったし面白かったし可愛かった。だからこんなに人が集まるんだろうな。

羽根を背負うだけが宝塚じゃないのと同じようにキラキラだけがアイドルじゃない。

自分の中の引き出しが10個くらい増えたような、そんな時間だった。

色々順不同だったり曖昧でごめんなさい。

ちなみに最後までガヤさんが「セクシー」って言ってくれるのを待っていたのだが、終わって感激の涙を流しているJ子にそれを言ったら轟さんくらい低い声で「それ違うグループ」って言われた。

とても反省している。

J子は次回花組公演「CASANOVA」を観劇予定です。

 

 

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*1:ハンガリー語で万歳という意味。名作「エリザベート-愛と死の輪舞曲-」に登場する

*2:小池修一郎。海外ミュージカルを得意とする宝塚の演出家。自己紹介ソングをよく作る

*3:花組のショー。通路を満遍なく組子が埋める超絶楽しいやつ

*4:余興部長タンバリン芸人としてその名を馳せた元花組男役、天真みちる